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ニューノーマルのV字回復にデータドリブンアプローチが不可欠である理由

企業にとってのデータの価値が、今ほど重要視されていることはありません。かつてはブランドの収益性を高めるためにあればよい、程度の扱いだったこともあるデータでしたが、今ではデータを活用して重要な意思決定を行うことは、ビジネスの継続に不可欠であると広く認識されています。

  ニューノーマル

今の時代を不確実な時代、と表現するのはもしかしたら控えめすぎる表現かもしれません: IMFによると、世界中で、コロナウイルスに関連する不確実性のレベルは、2002-2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行時よりも3倍以上高く、エボラ出血熱のアウトブレイクよりも約20倍高いです。これは市場に大きな影響を与えており、OECD(経済協力開発機構)は GDPの世界成長率を2019年の2.9%に対し、わずか1.5%と推定しています。この数字は、2020年の前回の推定値(3%)の半分になります。

また、世界の生産量とサプライチェーンにも影響を与えています。世界貿易機関(WTO)は2020年の 世界貿易量が2019年と比較して13~32%縮小する可能性があると予測しています。

当然のことながら、消費者心理にも大きな影響を及ぼしています。マッキンゼーによると、経済の回復能力に対する信頼は地域によって大きく異なりますが、 消費者支出は、必需品と安価な商品へと明らかにシフトしています。

このように前例のない状況であることを考えると、過去の知見を拠り所とすることは難しく、現状において信頼性の高い事実を掌握できるデータを、最大活用することが重要です。

  データドリブンアプローチが最も有効な分野

データをどう活用するべきかを理解することは、ビジネスの様々な局面へも、プラスに働きます。たとえば、履歴データ、トレンド、変動を取り入れた 予測分析は将来の結果を予測するときに使用されます。ここからは、ビッグデータの活用で、企業にとって大きな付加価値になりうる分野をいくつか紹介します。

  • マーケティング

会社にとって最も価値の高い顧客をいかに見つけ出し、獲得し、それを維持できるかという問いかけは、すべてのマーケターが直面している課題です。

答えは二つあります。第一に、ファーストパーティーとサードパーティーのデータを組み合わせて、全方位的な顧客視点を作成する手法です。こうすれば、顧客が誰であるか、そしてリアルタイムで何を望んでいるのかといった詳細な理解が可能になり、顧客にとって説得力のある、より関連性の高いタイムリーなマーケティングメッセージを提供できるようになります。

ここからはその仕組みです。御社の顧客が、環境問題を気にする化粧品ブロガーであるとします。ウェブサイト、アプリ、アンケート、CRMなど、自社のソースから収集されたファーストパーティーデータは、御社の自社チャネルにおけるこの顧客の購入行動、デモグラフィック、サイコグラフィックス、地理的位置や興味関心およびチャネルとのエンゲージメントに使用するデバイスに関するインサイトの理解につながります。それに、検索エンジン、パートナーのウェブサイト、アプリ、ソーシャルメディアなどの外部ソースからのサードパーティーデータを組み合わせることで、全方位的な顧客視点を作成できます。

そのブロガーは25歳の女性で、自社のウェブサイトで日焼け止め、リップ、アイシャドウに興味を示し、外部では「環境に優しい」「動物保護」「地球温暖化」などのキーワードのコンテンツに興味を示したとします。このデータドリブンのインサイトを活用して、このブロガーの2つの興味とデモグラフィックのプロファイルへアピールできる内容を組み合わせた関連製品、例えば若い女性向けのビーガン化粧品を彼女に提供すれば、コンバージョンの可能性ははるかに高くなります。

このように顧客に関する詳細な知見を入手できれば、適切なAIツールを使用してそれをセグメントし、離脱率、コンバージョン率、生涯顧客価値などの指標を使用して将来の行動を予測できます。その後、会社にとっての価値に基づいてセグメントをランク付けできるため、最も価値のある顧客に優先順位を付け、マーケティング予算をより効率的に利用できます。

たとえば、アンチエイジングセラムのプロモーションを実施したい場合、自社ウェブサイトでアンチエイジング製品を閲覧し、外部のウェブサイトで「ボトックス」や「しわ」などの関連キーワードを使用している顧客をターゲティングすることができます。これらの顧客の本当の意図を知ると、より高い確度で消費者行動を予測することができます。これらの技術によって台湾で有名な皮膚科ブランドである Neogenceは、ROIを14%、ウェブサイトのリテンション率を87%向上させました。

顧客の将来の行動を予測することは自社の直近の計画に直結するため、現代のような不確実性の時代にはより価値があります。現時点でこれを自信を持って実施できている企業は、ほんの一握りにすぎません。

  • カスタマーサービス

顧客を全方位的に理解するというアプローチは、顧客サービス戦略の最適化にも役立ちます。顧客に関する詳細な理解と、顧客個々が自社のなにを評価しているのかを把握することで、顧客とのコミュニケーションを最善なものにできます。お客様の立場に立ち、同じ言葉でエンゲージメント施策を行うことは、エンゲージメントを最大化するための確実な方法です。

  • サプライチェーン

データは、サプライチェーンをより迅速に、より効率的にする助けとなります。消費、グローバルな貿易、配送ルートに関するリアルタイムデータを見て瞬時に判断を下し、効果を最大化するためです。パフォーマンスデータを送信するために、製品にセンサーを追加することも有効です。

  • 製品設計

データと分析は、デザインプロセスにおけるチーム型のシステムとワークフローの強化にも寄与します 。また、分析によって顧客の懸念を理解し、製品の設計を改善し、最終的に顧客体験を向上させるなど、製品設計のアイデアを生成するためにも使用できます。

  データドリブンアプローチを採用する際に考慮すべき点

「データドリブンアプローチを採用する前に、ビジネス目標を特定する必要があります」と、 AppierのチーフデータサイエンスコンサルタントであるHsuan-Tien Linは言います。「これによって、自社にとって必要なデータの種類がわかります」と。

目標がどうあるべきかはっきりしない場合は 、まず会社が直面している課題を特定し、それを克服するための目標を逆算して組み立てます。その課題が十分深刻で、かつデータドリブンアプローチで解決されるべきかを判断するには、「ビジネスにとって重要な課題であり、それがデータに関連するものであれば、データを活用する意義が出てきます」。

その後、課題がどのように解決されるかを実証する必要があります。その課題がコンバージョン増加の場合は、コンバージョン率またはコンバージョン毎の費用を確認します。ただし、データといっても一朝一夕でビジネス課題をすべて解決するわけではありません。「成果に結び付くまでにかかる時間と期待値のコントロールは重要です。合理的なタイムラインを設定しなければなりません。機械学習によって3倍から10倍ものスピードアップが可能ですが、現実的であることが重要です。」とLinは言います。

データの質は、ビジネス上の問題を解決したり、新しいビジネスチャンスを引き出す鍵となります。その品質は、最新性、ノイズ、多様性、および新しい機械学習パイプラインに取り入れる速度といった、 4つの要因によって影響されます。これらを最適化することは非常に役立ちます。

データドリブンアプローチはひとつの投資ですが、特に現在の状況ではいわゆる「配当金」を伴います。「現在は前例のない時代であり、誰も何を期待すべきか分かりません。ビジネス環境はほぼ毎日変化していますが、データは 人間よりもはるかに迅速に、新しい顧客動向を捉えます。企業はこの知識を活用して、この新しいトレンドに適応し、パフォーマンスを最適化することができます。」とLinは言います。

  新型コロナ感染症のような前例のない状況に対処するときには、パニックに陥りがちです。しかしデータを基盤にすると、この最も非合理的な時代に、合理的にビジネス上の意思決定を行うことができるのです。

  * Appier のデータサイエンティスプラットフォームである AIXON にご興味がありましたら、 こちら からお問合せください。