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AIとは何か、その本質を理解する

現在、人工知能(AI)が大きな話題になっていますが、事実とは違った情報が飛び交っているのも事実です。高い処理性能に加え、巨大なストレージを利用できるようになったことで、自動運転車、音声アシスタント、チャットボットなど、AIを活用したデバイスやサービスが急増しています。

事実、世界的なIT企業の大手がAIに積極的に投資しており、寸暇を惜しんで自社のAIシステムを洗練させ、競合他社に対する競争優位性を確保しようと努めています。しかし、実際にAIとは何でしょう?企業に何をもたらすでしょうか?

AIの現状

AIは、決して新しい技術ではなく、1940年代から開発が行われています。その結果として過去数十年間には、エキスパートシステムの開発につながり、特定の問題を解決する知識システムとして活用されてきました。

現代のAIシステムは、機械学習や豊富なデータを活用することで、人間の知能と似た方法で結論を導き出すといった飛躍を遂げています。強化学習法によってニューラルネットワークをトレーニングし、質の高いデータと組み合わせたモデルであれば、確実性の高い予測ができます。そして人間は、これらの予測をインサイトとして活用し、意思決定に利用することが可能になります。

機械学習の応用分野は、取り扱うデータのタイプによって区別されます。最も知られているものは、恐らく音声認識や画像認識でしょう。クラスター分析など、教師なし学習法による機械学習アルゴリズムは、膨大な量のデータを瞬時に処理し、潜在的なパターンやグループを見つけるために活用されています。

AIの誤解を解く

ほとんどの技術と同様、AIにも誤解が存在します。恐らく最も一般的なものは、AIがすべての結果を完璧に予測できるというものです。洗練されたAIモデルは、非常に正確な予測ができますが、最終的には、神経回路モデルやデータに根付く、最も可能性の高い結果を「推測」する科学にすぎないのです。これは、AIが間違える可能性があるだけでなく、予測の正確性がソースデータの質に依存していることも意味しています。

また、AIがまるで自律的な技術のような話も聞かれます。しかしAIの運用は非常にインタラクティブなものであり、データサイエンティストによる定期的な調整が必要です。データの準備に補助的なシステムを使用することで、プロセスを容易にすることもできますが、AIを効果的に応用するためには、依然として人間からのインプットが必須です。実際のところ、一部の企業がAIを導入できない要因となっているのは、必要なデータを準備し、プロセスを管理できるテクニカルチームが不足しているためです。

さらに、コンピューティング処理能力が劇的に向上していることで、AIシステムが瞬間的に結果をもたらすという思い込みも生じています。しかし、人間が自転車に乗る方法やチェスを学ぶように、AIシステムも同様の学習経験を積む必要があります。AIシステムは、高速に、かつ24時間動作することが可能なだけで、フィードされたデータに応じて「学習」するための適切な時間が必要であることに変わりはありません。

AIにできること

AIは、前述のように、ビジネスのあらゆる課題を解決するブラックボックスではありません。AIを効果的に応用するためには、必要なデータの取得、モデルのトレーニングと同時に、求められる結果を得るためにアウトプットを分析し、モデルを調整する反復プロセスなどといった体系的なステップを厳密に順守することが不可欠です。

それぞれの性能は別として、膨大なデータ量を処理できるAIに人間は太刀打ちできません。そのためAIは、データに関連した問題を解決するための有力な候補と言えます。たとえば、多くのマーケターが苦労している特有の問題として、複数のデバイスを交互に使用しているユーザーを追跡することの難しさがあります。AIシステムは、人間がためらっている間にも数十億のデバイスに関する情報を完璧に集約し、セールスファネル(潜在顧客が商品を購買し、さらには優良顧客になるまで絞り込まれていくプロセス)を通過するユーザーを正確に識別することができます。

またAIは、アドフラウド(広告詐欺)対策に利用する事ができます。アドフラウドを仕掛ける運用者は、ルールベースの従来システムを出し抜くような手段など、常に新しい戦略を練り、不正対策を綿密に調査、テストしています。たとえば、同一アプリのインストールがX回された場合、それを疑わしい行為としてフラグを立てると、悪意のある者は、その不正対策をすぐに察知し、クリックファームによるインストール回数をX-1と再設定するのです。

たとえデータを監視するために十分な人員を雇うことができても、数百、数千という異なるトラフィックソースからの膨大なデータを、しかもリアルタイムで監視することは、採算が合う対策とは言えません。しかし、AIを搭載したAppierのプラットフォームは、休むことなくデータを分析し、短期的および長期的な傾向を精査することで、疑わしい行為を特定することができます。

AIが約束するもの

結論として、AIから成果を引き出すには、企業が解決したい問題を明確にし、AIが具体的にどのような恩恵を企業にもたらすのか、その可能性を判断することから始まります。そして、その判断結果が「Yes」である場合、次のステップはAIモデルの構築に活用できる関連データを特定、照合することです。

AIは決して魔法ではありませんが、適切に導入・運用されれば、企業に計り知れない恩恵を約束します。AIは人間には処理の不可能なほどの膨大な量のデータの相関関係を理解し、分析することで、実行可能なインサイトを引き出します。これにより企業に最終的な収益に差をもたらすことが可能になるのです。

この記事に関するお問い合わせは、 press@appier.comにお寄せください。

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