日刊工業新聞- 購買行動を読むAI 台湾エイピアの挑戦(下)広告以外のサービスも

2018/4/25

【新進気鋭】

人工知能(AI)を活用したデジタルマーケティングサービスを展開する台湾のエイピアは、2012年設立の若く勢いのある企業だ。日本のソフトバンクグループやLINEなどからを含め、創業以来調達した資金総額は約90億円に上る。スマートフォン利用者が増加すればするほど、ニーズは増えるため、事業拡大への期待が大きくなっている。

ビジネスを支えるのは人材だ。ITや自動車などの超大手企業がAI人材の獲得を急ぐ中、エイピアは小さな企業ながら世界的なデータマイニングコンテストのチャンピオンなどを抱える。

その理由を、企業向けAI専任開発部長のチャールズ・エン氏は「エイピアはAIファースト。AIサイエンティストにとって働きがいがある」と説明する。エン氏自身も米IBMなど複数社でデータサイエンスに携わり、エイピアにやってきた。

【創造性も習得】

豊富な人材から、現行ビジネス以外の研究成果が生まれている。チハン・ユー最高経営責任者(CEO)は、若い女性向けの洋服の写真を2グループに分けて、「人間とAIのどちらがデザインしたか区別できますか?」と笑顔で問いかけた。片方は、敵対的生成ネットワーク(GAN)に関連した最新研究を基にAIがデザインしたものだ。

GANは、本物と同じような内容を作るネットワークと、本物か識別するネットワークが競い合うことで、より高度に真似(まね)したコンテンツを生成する技術。エイピアはGANを使いながら、美しいデザインの事例を学習させて、デザインの能力を真似るAIモデルを開発した。デザイナーはAIが考えたデザインに自分のアイデアを足すことができる。「クリエーティブAIの実現までもう少し」とユーCEOは語る。

【アイデアマン】

また、インターネット上での人のふるまいを理解し、次の行動を予測するエイピアのAI技術は、広告の用途以外にも利用できるかもしれない。ユーCEOは、「まだ話せないが、たくさんのアイデアがある」と語る。日本企業はデータを生成する機械やセンサー技術を得意とする。日本企業との連携も増やしていきたい考えだ。

インターネットを取り巻く環境は目まぐるしく変化し、数年前に新しかったクラウドネットワークも今では当たり前だ。「10年後、AIは生活の一部になり、インテリジェントサービスになっているのではないか」(ユーCEO)と話し、AIという言葉もなくなる可能性を指摘する。

膨大なデータを扱うデジタルマーケティングは、AIと相性のいい分野だ。AIが購買行動を変えた先に、さらに広いAIの世界が広がっている。

ダウンロード

ダウンロードには以下のフォームを記入してください