得意客へのエンゲージメントの向上、関係維持・売上増加を継続させる方法

得意客とはEコマース企業にとって最も利益をもたらしてくれる顧客ではあるが、彼らのロイヤルティを維持しエンゲージメントを続けるのは至難の業だ。しかし、今や人工知能(AI)を活用すれば、得意客に対する理解を深め、行動を予測し、高度にパーソナライズしたメッセージを作成して心と財布をつかむことができる。

個人消費を「パレートの法則(80:20の法則)」(英語資料)にあてはめれば、利益の80%は全顧客の20%からもたらされている。この20%が、最も高い顧客生涯価値(LTV)、すなわち潜在的利益を持つ得意客である。そうした得意客の購入を増やし、ロイヤルティを高めるために、Eコマース企業は通常、無料配送やセールへの早期アクセス、特別イベントへの招待、誕生日割引などの特典を提供している。このような手段は効果的ではあるものの散発的な施策なため、頻度を増やすだけだと逆効果となり、ブランド認知を損なう可能性すらある。得意客への効果的なエンゲージメントのためには、異なる戦略が必要となる。その戦略とは、たまにだけでなく、日常的にも顧客を喜ばせるものである。

既存の得意客のターゲット化とエンゲージメントを向上させる上で、AIが役立つ。AIを使って、顧客データを精度高く分析することで高度なパーソナライゼーションと予測が可能となる。AIを活用すれば、既存顧客との関係強化だけでなく新規顧客を創出することさえ可能になる。

既存の得意客のLTV向上

 抱き合わせ販売は既存得意客のLTVを高めるための確立された方法だが、販売促進を行う商品の把握は厄介だ。例えば、いつもは洋服を購入する得意客であるエマに、スポーツシューズや、ワイヤレスヘッドフォン、新発売の生活雑貨を勧めるべきだろうか?

エマのような得意客は高度にパーソナライズされたメッセージを求めている。適切なメッセージを見つけ出すためのデータがない場合は当て推量で行うことになり、不要なスパムと受け止められて満足度を低下させる可能性も否めない。それどころか、彼らは貴社での買い物をやめ、解約率を高めることにもなりかねない。

AIXON(アイソン)などのデータサイエンスプラットフォームを利用すれば、ウェブサイトやアプリ、CMS(コンテントマネージメントシステム)、オフラインデータなどの自社チャネルからのデータを、外部のウェブサイトやアプリからのサードパーティデータと統合して、顧客行動の全体像をつかみ、自社チャネル外における顧客行動の把握が可能になる。AIは、顧客が外部サイトで検索しているキーワードやトピックを分析することで、顧客が他のどのような商品に興味を持っているかを予測できる。

例えば、エマは他のウェブサイトでヘッドフォンを検索しているかもしれない。そうしたインサイトを利用し、同種の商品情報をエマに提供することで、自信を持ってエマにアプローチできる。そこから、エマの関心と行動を分析することで、彼女が好むブランドのタイプや平均的な価格帯を特定し、AIを活用してさらに推奨する商品をパーソナライズできる。つまり、推奨したい商品を絞り込み、エマの体験をさらにパーソナライズすることが可能である。

AIは、顧客の個人レベルで複数デバイスでの行動を明らかにし、購買サイクルにおける各デバイスの役割を正確に示すこともできる。例えば、エマは朝の通勤時に携帯電話で検索した商品を、夜にノートパソコンで購入することが多い。この情報は、AIQUA(アイコア)などのAIを搭載したマーケティングオートメーションプラットフォームによって、販促メッセージを送信したり、適切な時間に適切なデバイスにリマーケティングを行ったりする上で役立つため、押し付けがましくなく高度にパーソナライズされたエンゲージメントを実現できる。アイコアによって、アプリやウェブのプッシュ通知、Eメール、SMS、メッセンジャーなどの複数のチャネルを通じて接触することも可能になる。

得意客の解約率の低下

どのEコマースサイトにも、離れてしまった得意客がいる。商品に興味がなくなったか、または他に気に入ったサイトを見つけたかのいずれかだ。マーケターは、アイソンなどのAIプラットフォームを活用して、得意客セグメントのうち、どのユーザーが最も解約する可能性が高いかを、自社サイト内外の行動に基づいて予測し、それを回避する施策を実施できる。たとえば、パーソナライズした販促活動やコンテンツマーケティングでVIP一人一人に合わせたリエンゲージメントが可能になる。

新規得意客の創出

利益を最大化するためには、既存得意客を満足させてエンゲージメントを図るだけではなく、常に新規顧客を創出する必要がある。新規顧客から潜在的な得意客を特定することは難しい。ただし、AIモデルなら顧客行動に基づいて一般的な得意客の特徴を特定できるため、得意客に最も似ている既存顧客ベースからそうではない顧客、さらにはそれらしく見える人たちを区分できる。

さらにAIが、外部の興味・関心に関する、これまでなら入手不可能だったインサイトを提供することで、新規訪問者を自社のオンラインショップに効果的に取り込むことができる。したがって、訪問者が初めてプラットフォームに到達した瞬間から、ウェブサイトのランディングページやアプリをパーソナライズして、特定商品の推奨も行い、バウンス率を低下させてブランドとのつながりを強化できる。

どの得意客も、企業にいっそう努力してもらい、期待以上の時間を自分たちに費やしてもらいたいと考えている。AIによる予測とパーソナライゼーションの可能性を十分に追求することで、得意客と潜在的得意客に対してパーソナライズされた、的を絞った優れたメッセージを容易に作成できる。これは最終的にはオンライン購買サイクル全体にわたって固定客がつき、自社の利益と市場シェアの向上につながる。