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投稿日: 2019年5月15日

金融サービス業界が見据えるAI主導の未来

「お客様のニーズに応えるサービスの提供」は現在に至るまで、企業の目標として掲げられてきました。人工知能(AI)革命が進む今、多くの業界がそれを実現しています。その中でも金融サービス分野が、最も積極的に機械学習やデータ分析などのツールを活用している傾向がみられます。

ーソナライズされたアプローチ

金融サービス業界は他の分野と同様に、業務のデジタル化による影響を受けています。こちらの記事の調査(英語資料)によると、顧客が個人のモバイルでアプリやセキュリティの万全なウェブサイトを使用するようになって、銀行の実店舗に足を運ぶ顧客数が減少していることが分かります。これにより、既存企業がシェアを占める市場でのデジタル事業者の新規参入の門戸が開かれてきました。この変革は、金融機関の顧客を軸とした対応を可能にするAIなどの最新テクノロジーを導入したフィンテックの重要性を明らかにしています。

「テクノロジーを上手く導入したフィンテックで、カスタマーエクスペリエンスを変えることができます。我々はここ一年でこの変革を経験してきました。企業が提供する顧客のエンドツーエンドの経験を改善させる機械学習などのAIメソッドの使用が確実に増えてきています。」ー プレデンシャル生命保険シンガポール マーケティング部長 ハリッシュ・アガウォール氏

プレデンシャル生命保険シンガポールでは、データ分析からパーソナライゼーション、カスタマサービスやリアルタイムなインサイトなど、AIソルーションの導入後業務の効率性に驚異的な進歩を遂げました。一例として、保険費用相談窓口のコンサルタント専用AI搭載オンラインシステムのチャットボットです。モバイルから顧客情報を迅速かつ容易に集積するプレデンシャル生命保険シンガポールのチャットボックス「askPRU」を通して、優れた顧客体験を提供しています。コンサルタントから社内コンタクトセンターへのコール数の減少を実現し、より多くの顧客への対応が可能となりました。

セキュリティの強化

カスタマージャーニーの改善には、金融業界におけるセキュリティ強化と不正な詐欺の防止が必要です。AI は、過去のすべての取引の履歴を分析し、不正行為を未然に防止し、そのデータのパターンに基づいて詐欺の潜在を予測できます。シンガポール拠点のOCBC銀行は、まさにAI を適用して金融犯罪対策に取り組んでいます。 このテクノロジーは取引のパターンを「学習」したり、その変化に合わせて自動で調整され、疑わしい取引をより的確に突き止めます。また、生保業界コンサルタントの場合、AIは保険請求の評価に必要な能力を強化させ、詐欺行為を減らし数百万ドルの節約に貢献します。シンガポール損害保険協会によると、受付けた請求のおよそ5分の1が不正な請求であり、毎年業界に約SG$1.4憶(1億1千万米ドル)の損失が計上されています。(英語資料)

顧客エンゲージメントの見直し

カスタマーサービスおよびセキュリティの他、マーケティングもAIツールの導入によって多くの恩恵を受けるでしょう。例えば、顧客データと過去の取引履歴の総合かつソーシャルメディアをモニタリングすることで、パーソナライズされた商品の推奨が可能となります。

Appierのカスタマーエンゲージメント「アイコア」を使えば、ユーザーが興味を示すことやオンライン行動のデータに基づき、オーディエンスセグメンテーションの作成を可能にし、複数のプラットフォームにパーソナライズされたキャンペーンを展開して顧客の関心を引き寄せることができます。

AI活用によって、類似オーディエンスの検知から潜在顧客へのリマーケティングなど、より明確な顧客像を構築しながら顧客離れを防げます。例を挙げましょう。ある金融機関はライバル社に住宅ローン顧客を奪われ、解決策としてAI を適用しました。忠実な顧客と離脱した顧客のアトリビューションを比較し、データをモデル予測ツールに取り込み、顧客離れの可能性を予測しました。すべての住宅ローン顧客にこのモデルを適用した結果、離脱の可能性が高かった件数を100以上から10に減少させ、離脱の可能性が高い順で顧客のランキングを構成することを実現しました。この金融サービス事業者はAIによって生成されたインサイトを利用し、特定の顧客にターゲットを絞ってマーケティングキャンペーンを実施することで、顧客離脱率をほぼ半分に下げ、大幅な利益を確保することに成功しました。

今も存在する課題

引き続き現在のAPAC市場の金融サービス分野では、AIソリューションを実装して得られるメリットの実現を妨げる障壁が存在しています。Appier が協力し実施されたフォレスター調査によると、51 %の金融サービス企業が既にAIツールを導入済みの一方、27%が今後12ヶ月の間でAIの導入を計画していることが判明しました。しかし回答者の多くが社内調整と顧客データ管理に関する各部門の課題を挙げています。主な課題は、データ管理ができる適切なプラットフォームの実装 (52%)、データ収集と統合 (52 %) ならびに予測的な顧客インサイトの生成(49 %)です。課題に向き合いながらも、大多数の金融サービス企業がAIを活用して顧客ロイヤルティを高めて顧客の生涯価値を最大限に引き出し、マーケティングの最適化とROIの向上、 そしてインサイトを深めることで、より優れた顧客とのインタラクションを目標としています。

AIの影響で金融サービス業界における運営方法に変化が起きていることは確かです。その影響力は業界に革命を起こすだけではなく、消費者の財務健全性の改善へも期待されています。