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様々なビジネスに新たな可能性を提供する 感情認識 AI(エモーショナル AI)の最新動向

作成者: Admin|Jan 19, 2020 4:00:00 PM

AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア、共同創業者/CEO:チハン・ユー、以下Appier)は、同社のチーフAIサイエンティストであるミン・スンが感情認識AI(エモーショナルAI)の導入により、様々な業界にメリットをもたらしていることを、最新の研究結果とともに以下の通り発表しました。

3 種類の感情認識AI

人間の感情は機械とは一線を画す性質のものですが、技術の進化によって機械が人の感情を解釈し、適切に応答できるようになりつつあります。研究者たちはこの技術を「感情認識AI」あるいは「エモーショナルAI」と呼んでいます。

感情認識AIには、自然言語テキスト分析、音声分析、表情分析の3つがあります。自然言語テキスト分析は、AIが製品やサービスのレビュー、オンライン記事、ツイートなどのテキストをスキャンし、肯定的、否定的、または中立的かどうかの感情の分析を行います。音声分析は、AIが話者の言葉の速さ、イントネーション、音程などの音声信号と、感情を表すときに使用する言葉を分析します。

現在最も注目されているのは、表情分析の分野です。ビデオカメラを使用して人の顔の表情を読み取ることで、AIは感情を分析します。その結果、心の状態、意図、嘘をついているのかなどを推測できます。一部の企業では、就職の面接ですでに使用されており、インタビューされる側の緊張、自信、または誠実な回答をしているのかなどを判断しています。また、銀行やフィンテック企業などの金融サービス企業では、ローンの承認を下す際の顧客とのやりとりに取り入れられています。

感情認識AIのビジネスにおける応用

感情認識AIは、ビジネスにおいても役立ちます。たとえば小売業の場合、店舗のカメラを使用して、顧客の表情、歩き方、および感情状態を判断することができます。たとえば、歩くペースが非常に速く、顔をしかめている人がいたとしたら、ストレスを受けて急いでいると推測することができます。それによって担当者は、近づかないようにする、あるいはストレスを抱えている人だと理解した上での声がけをするなど対応を取ることができます。

オンラインでも同じように、買い物客のボディーランゲージを見る代わりに、オンラインでの行動パターンを見て分析をすることができます。たとえば、マウスやカーソルを気ぜわしく動かしている場合、ストレスを受けているか急いでいる、またはその両方で、購買意欲がそれほどないと推測できます。一方、「今すぐ購入」のボタンにカーソルをしばらく置いている場合、購買意欲はあるが何かしらの原因により悩んでいる可能性があるため、割引または送料無料のクーポンを送信して、購入促進をすることができます。

感情認識AIの課題

感情認識AIは非常に精度が高く、表情分析の場合、研究者が定義する約64種類の表情と微視的表情を検出することができます。また、他のAIと同様、データが蓄積されることでさらに分析結果の精度を上げることが可能です。しかしながら、解釈にはまだ課題が残っています。人の感情は非常にユニークであり、人によって感情の表現方法は異なるので、同じ状況における反応でも大きなばらつきがあります。全ての人に適用する普遍的なルールは存在しません。

表情分析を用いた非常に印象的な実験があります。研究者が俳優に神経質なふりをするように頼み、AIがその感情に気付くかという実験です。俳優は大げさに感情を表現する傾向があるため90%の正答率となりましたが、一般の人々で実験をしたときの正答率は70%に留まっています。特定のシナリオでは、人間がAIを活用して最終決定を改善することは有用といえますが、誰を雇うか、融資を拒否するかなどの「最終的な」決定を全て任せられるまでのレベルには到達していません。

感情認識AIをマーケティングで有効活用する

感情認識AIはマーケティングにおける「決定」には非常に適しています。購入にいたる最終決定は顧客の手に委ねられているので、マーケティング担当者は販売促進を行うだけで、最終的な決定を下すわけではありません。

感情認識AIを活用するにあたって、顧客の感情が反映されるデータを準備する必要があります。たとえば、コールセンターの通話記録や、ウェブサイトのユーザーレビューは分析のためにすべて保存しておく必要があります。これらのデータがあれば、感情認識AIの技術はすぐに活用することができ、より効果的なビジネス上の意思決定を行うことが可能になります。感情認識AIの研究や実装はまだ初期段階ですが、AIの開発における重要なステップであり、AIが人間と自然に対話するシステム構築には不可欠と言えます。

  Appierについて

Appier は、AI(人工知能)テクノロジー企業として、企業や組織の事業課題を解決するためのAIプラットフォームを提供しています。

ミン・スン プロフィール

2005年からGoogle Brainの共同設立者の一人であるAndrew Ng(アンドリュー・エン)氏、元Google CloudのチーフサイエンティストであるFei-fei Li(フェイフェイ・リー)氏などのプロジェクトに携わり、AAAI(アメリカ人工知能学会)をはじめ世界トップの人工知能学会で研究論文を発表。

2014年に国立清華大学の准教授に就任。 2015年から2017年には、CVGIP(Computer Vision Graphics and Image Processing)Best Paper Awardsを3年連続で受賞。専門分野は、コンピュータビジョン、自然言語処理、深層学習、強化学習。

2018年には「研究者には肩書きよりもデータが必要」と感じ、AIテクノロジー企業AppierにチーフAIサイエンティストとして参画。新製品の開発、既存製品の機能改善のほか、記述的な課題解決を行う。 2020年1月20日プレス PDF版